隣人– tag –
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優しい隣人
大学進学で一人暮らしを始めた春、私は格安のアパートに引っ越した。 2階建ての古びた建物で、壁が薄く、隣の部屋の音がよく聞こえるような場所だった。 けれど、家賃が安いぶん、文句は言えなかった。 引っ越してからしばらくして、隣の部屋の住人が... -
空き部屋の鍵
僕が大学2年のときに住んでいたアパートは、築30年近い古い木造だった。 安さに惹かれて選んだ物件で、風呂トイレ別で家賃は3万円ちょっと。周囲には学生が多く、特に不満もなかった。 隣の部屋──つまり「203号室」だけは、ずっと空き部屋のままだった... -
隣の部屋の住人
私は大学進学を機に、地方から東京へと引っ越してきた。 築年数は古いが家賃の安いワンルームマンション。都心からは少し離れているが、通学には不便しない場所だった。 引っ越し初日の夜、荷ほどきもそこそこにベッドに入ろうとした時、隣の部屋から「... -
引っ越し祝い
会社の異動で、少し田舎の町に引っ越した。 とはいえ、自然が多く、家賃も安くて広い。職場からも近く、環境としては申し分なかった。 引っ越し初日の夜、インターホンが鳴いた。出ると、見知らぬ女性が立っていた。年の頃は40代後半、地味な服装で、どこ... -
隣人のノート
引っ越してきたのは、3階建てアパートの2階の角部屋だった。家賃も安く、駅からも近い。唯一の不安は、両隣にどんな人が住んでいるかわからないことだった。 右隣の部屋には40代くらいの男性が住んでいるようだった。顔を合わせたのは引っ越し初日の挨拶く... -
やさしい隣人
引っ越してきたアパートは、古くて狭いが家賃が安く、私にはちょうど良かった。隣の部屋には年配の女性が住んでいて、会えば笑顔であいさつしてくれる、感じのいい人だった。 「何かあったらいつでも言ってね。若い人が一人で大変でしょう?」そう言って、... -
住人のいない隣室
都内の小さなアパートに引っ越して半年になる。会社からも近く、家賃も安くて、ひとり暮らしには十分な部屋だった。 だが、ひとつだけ不思議なことがある。隣の部屋から、毎晩「音」がするのだ。 それは決まって深夜1時過ぎ。壁越しに「カタカタ」「ギィィ... -
もう一人のお兄ちゃん
僕の部屋の隣には、母子家庭の兄妹が住んでいた。兄は小学3年生くらいで、妹はまだ5歳ぐらい。いつも明るくて元気な声が聞こえてくる。母親は夜遅くまで働いているようで、子どもたちは夕方から夜まで二人きりのようだった。 僕の部屋と彼らの部屋は壁一枚... -
隣人はいつも静かだった
大学進学で一人暮らしを始めた頃、築年数の古いアパートに住んでいた。 安い代わりに、隣との壁は薄くて、生活音はよく聞こえた。隣の部屋には、俺と同年代くらいの男が住んでいたらしい。 でも……まったく物音がしなかった。 洗濯機の音も、話し声も、ドア... -
上の階の女
大学進学で引っ越したマンションは、駅からも近く家賃も手頃だった。少し古いが、静かで暮らしやすい部屋だった。 ただ、気になることが一つだけあった。それは「上の階の住人」だ。 引っ越してすぐ、管理会社から「上階には一人暮らしの女性が住んでいま... -
隣の部屋の人
社会人になってから住み始めたアパートは、築年数は古いが駅からも近く、家賃も安かった。間取りは1K。隣の部屋との壁は薄く、くしゃみや咳払いが聞こえるほどだ。 入居して3日目の夜だった。夕飯を終え、テレビを見ていると、壁の向こうからコツ、コツ、... -
出入り自由の部屋
俺は数年前、都内の安アパートに住んでいた。ボロいが駅からも近く、家賃が格安だったので即決だった。 間取りは1Kで、築40年近い木造。隣の部屋とは薄い壁一枚で仕切られており、物音はほぼ筒抜けだった。だが、住人同士の関わりはほとんどなく、俺にとっ...
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