意味怖– tag –
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鍵のかかった部屋
大学時代、俺はアパートの2階に住んでいた。古い建物だったが家賃が安く、大学からも近かったので即決した。 ある日、バイトから帰ってきて部屋に入ると、何か違和感を覚えた。部屋の空気が重い。匂いも少し違う気がした。 部屋のドアはきちんと施錠されて... -
ぬいぐるみ
俺の妹は、小さい頃から同じぬいぐるみを抱いて寝ていた。白くてふわふわの犬のぬいぐるみで、名前を「シロ」とつけて可愛がっていた。 どこに行くにも一緒で、寝るときも食事のときも、常に隣にいた。幼稚園のころから中学に上がるまで、妹にとっては“家... -
最後の手紙
僕には幼い頃から仲の良い親友がいた。名前は健太。何をするにも一緒で、学校でも家でも、兄弟のように過ごしていた。 中学に入るとクラスが別になり、次第に話す機会も減っていった。それでも、たまに手紙を交換しては、近況を伝え合っていた。 手紙なん... -
隣の部屋の住人
大学進学を機に、初めての一人暮らしを始めた。築年数は古いが家賃は格安で、キャンペーン中ということもあり即決した。 隣の部屋も誰か住んでいるらしく、深夜になると時々、物音や小さな咳払いが聞こえてきた。壁は薄いらしく、ドライヤーの音や、テレビ... -
閉じ込められたのは私じゃない
ある日、友人の由美から「一人暮らしを始めたから遊びに来て」と連絡があった。引っ越したばかりのようで、「まだ何も揃ってないけど、それでも良ければ」と言う。 私はちょうど仕事が休みだったので、その日の午後に訪ねることにした。 由美の新居は、郊... -
弟の部屋
高校生の俺には、5つ下の弟がいる。年は離れているが仲は良く、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。 ある日、母が急用で外出することになり、夕方まで弟の面倒を見るよう頼まれた。俺は部屋でゲームをしていたが、弟がやたらと「遊んでー」とせがんでくる... -
おかえりの声
高校生の俺は、いつもより遅い時間に塾から帰宅した。家に着いたのは午後10時過ぎ。玄関の鍵を開けて中に入ると、暗がりの中から母の声がした。 「おかえり」 「ただいま」と返し、靴を脱いで部屋に入る。母の姿は見えなかったが、居間のテレビがついてい... -
ユウタの部屋
小学生の頃、僕には「ユウタ」という友達がいた。同じクラスで、家も近く、毎日のように放課後は一緒に公園で遊んでいた。 ユウタは少し大人しい性格だったけど、いつも優しくて、僕の話をよく聞いてくれる子だった。家の話はあまりしなかったが、ある日、... -
間違えて送っちゃった
高校時代の友人グループで、今でもよくグループLINEが動いている。 大学に進んだり就職したりして、全員バラバラになったけど、近況報告とかたまに飲み会の予定を立てたりして、ゆるくつながってる。 ある日、グループLINEに一件のメッセージが届いた。 ──... -
うちの子じゃない
私には小学2年生になる息子がいる。名前は“リク”。やんちゃだけど素直な子だ。 ある日、学校から電話がかかってきた。 「お母さま、リクくんが給食の時間に嘔吐してしまいまして……」 驚いて迎えに行くと、保健室でうつむいているリクがいた。顔色は悪いが... -
余った写真
大学のゼミ仲間と旅行に行った。男3人、女2人の合計5人。卒業も近かったし、みんな予定を合わせて温泉地へ1泊2日の小旅行だ。 旅館でのんびり過ごし、帰りの電車を待っているときに、ひとりが「みんなで写真撮ろう!」と言い出した。スマホで何枚も写真を...
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