恐怖– tag –
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鍵を開けたのは、私じゃない
都内の1Kマンションに引っ越してきたのは、仕事の都合だった。職場まで徒歩15分という立地に惹かれて決めた物件は、築20年だが小綺麗で、オートロックもついている。家賃も手頃で、特に問題はなかった。 最初の異変は、引っ越してから3日目の夜に起こった... -
鍵の合う部屋
大学に入学してすぐ、一人暮らしを始めた。 家賃を抑えるため、古いけれど駅に近いアパートを選んだ。築40年のその建物は木造で、2階建て。私は1階の101号室に住んでいた。 引っ越し当初、特に問題はなかった。隣の部屋(102号室)には誰か住んでいるらし... -
隙間の声
そのアパートに引っ越してきたのは、去年の春だった。 築年数は古かったが、家賃が破格で駅からも近い。多少の古さは目をつぶっても十分な条件だった。 部屋は2階建てアパートの2階、端の角部屋。見取り図を見ると、隣の部屋とは一部の壁でしか接しておら... -
おかえりの声
高校3年の秋、受験勉強で夜遅くまで塾に通う日々が続いていた。 家に帰ると、玄関のドアを開けながら「ただいま」と声をかけるのが習慣だった。すると、奥のリビングから必ず「おかえり」と母の声が返ってくる。 疲れて帰る日々の中で、その声は何よりも安... -
隣人は誰にも見えない
都内で一人暮らしを始めて3ヶ月目。築浅・セキュリティ完備・駅近という条件にしては、家賃が少し安いなとは思ったが、特に気にせず住んでいた。 ある日、エレベーターで同じ階の住人とすれ違った。中年の女性で、どこか無表情でうつろな目をしていた。「... -
ずっと見ていた
私はずっと一人暮らしをしている。自宅はオートロック付きのマンションで、セキュリティには自信がある。職場も近く、生活の不便もなかった。 ただ、ここ最近、妙な違和感を覚えることが増えてきた。特に夜。帰宅して玄関を開けた瞬間、誰かの気配を感じる... -
閉じた窓
学生時代、古いマンションで一人暮らしをしていた。7階建ての5階。エレベーターもないボロい物件だったが、家賃が安かった。 ある日、夜中に窓の外から視線を感じて目が覚めた。 時計を見ると午前2時過ぎ。カーテン越しに何かが動いた気がした。 風かな、... -
ママの携帯
小学1年生の妹が、最近よくママのスマホで写真を撮るようになった。「見てー、ママの真似してるの!」と言いながら、カメラを向けてカシャッと音を鳴らしては笑っている。 ママは仕事でいつも帰りが遅いから、妹はママのスマホを持って遊んでいる時間が多... -
押し入れのメモ帳
大学進学で一人暮らしを始めた俺は、郊外の古いアパートに住んでいた。築年数は相当経っているが、家賃が破格だったためすぐに契約した。 引っ越し当日、部屋を掃除していると、押し入れの奥に古いメモ帳が落ちていた。ボロボロの表紙で、ところどころシミ... -
見知らぬ番号
深夜2時過ぎ、スマホが震えて目が覚めた。画面を見ると「非通知設定」の番号から着信。無視しようとしたが、何度も鳴る。 寝ぼけたまま通話ボタンを押すと、少し間をおいて、小さなノイズ混じりの声が聞こえてきた。 「……みえてるよ……」 ゾッとした。誰か... -
夜中に鳴るインターホン
俺が一人暮らしを始めて2年目の頃、都内の古いマンションに引っ越した。駅からは少し遠かったが、家賃も安く、部屋も広くて満足していた。 入居してから1週間ほど経ったある夜、午後11時を過ぎたころだった。突然、「ピンポーン」とインターホンが鳴った。... -
駅で待っていた男
会社帰り、いつものように夜10時過ぎの電車に乗った。駅のホームはほとんど人がいなくて、電車もがらがらだった。 俺はつり革に掴まりながら、スマホでニュースを見ていた。 ある駅で乗客が1人乗ってきた。スーツ姿の中年男。顔はよく見えなかったが、やけ...
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