恐怖– tag –
-
扉の向こうの男
社会人1年目の夏、俺は安アパートで一人暮らしをしていた。築40年を超える木造のアパートで、2階建ての4世帯。風呂もなく、トイレは共同。 家賃は安いが、天井や床が薄く、隣の生活音が筒抜けだった。 ある晩のこと。深夜2時を回っても眠れず、スマホを眺... -
鍵のかかった部屋
大学時代、俺はアパートの2階に住んでいた。古い建物だったが家賃が安く、大学からも近かったので即決した。 ある日、バイトから帰ってきて部屋に入ると、何か違和感を覚えた。部屋の空気が重い。匂いも少し違う気がした。 部屋のドアはきちんと施錠されて... -
耳鳴りの部屋
社会人2年目、引っ越し先を探していたときの話だ。都内で家賃5万円台の1Kという好条件の物件を、不動産サイトで偶然見つけた。立地も駅から徒歩10分以内、築年数もそこまで古くはない。まさに掘り出し物だった。 すぐに内見を申し込むと、不動産会社の担当... -
隣の部屋の住人
大学進学を機に、初めての一人暮らしを始めた。築年数は古いが家賃は格安で、キャンペーン中ということもあり即決した。 隣の部屋も誰か住んでいるらしく、深夜になると時々、物音や小さな咳払いが聞こえてきた。壁は薄いらしく、ドライヤーの音や、テレビ... -
閉じ込められたのは私じゃない
ある日、友人の由美から「一人暮らしを始めたから遊びに来て」と連絡があった。引っ越したばかりのようで、「まだ何も揃ってないけど、それでも良ければ」と言う。 私はちょうど仕事が休みだったので、その日の午後に訪ねることにした。 由美の新居は、郊... -
エレベーターの奥
大学2年の春、俺は古いマンションに引っ越した。都内にしては破格の家賃。駅からも近くて条件はよかったが、築年数は40年以上で、エレベーターも昭和感のある機械式だった。 「安い理由はこれか」と思ったが、当時の俺にはそんなことどうでもよかった。と... -
閉ざされた階段
高校卒業後、地方の大学に進学した俺は、古びた学生寮に入ることになった。駅から徒歩15分、築50年を超える古い木造の建物で、廊下はギシギシと鳴り、風の強い日には窓が勝手に開いたり閉まったりする。まあ、家賃が安いから文句は言えない。 その寮には“... -
おかえりの声
高校生の俺は、いつもより遅い時間に塾から帰宅した。家に着いたのは午後10時過ぎ。玄関の鍵を開けて中に入ると、暗がりの中から母の声がした。 「おかえり」 「ただいま」と返し、靴を脱いで部屋に入る。母の姿は見えなかったが、居間のテレビがついてい... -
帰れなかった集落
大学時代の夏休み、俺は民俗学を専攻している友人・宮坂の調査に付き合って、小さな山村を訪れた。 その村は地図にもろくに載っておらず、バスは1日に2本しか来ない。宿も民宿が1軒あるだけで、あとは年季の入った木造家屋が並んでいる。 村の人たちは親切... -
忘れられない訪問者
大学時代、私は下宿で一人暮らしをしていた。ある日曜の昼下がり、インターホンが鳴った。 モニターを見ると、20代後半くらいの男が立っていた。「すみません、このあたりに○○さんという方、お住まいじゃないですか?」と人当たりのよさそうな笑顔で尋ねて...
1