怪談– tag –
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203号室からの声
大学生の頃、2階建ての古いアパートに住んでいた。俺の部屋は201号室で、隣の203号室は半年以上ずっと空室だった。 管理会社が言うには、前の住人が夜逃げ同然で出て行ったとか。気味が悪かったが、家賃が安かったし、特に気にはしていなかった。 だが、あ... -
ベランダの向こうの顔
引っ越してきたばかりのマンションで、奇妙なことが起き始めたのは、5日目の夜だった。 東京郊外の新築物件。1LDKでオートロック、防音も完璧、築浅で家賃も安い。「これは掘り出し物だ」と思った俺は即決で契約した。初日は静かすぎて逆に落ち着かないほ... -
あいさつの家
その家は、挨拶をすると返してくれる家だった。 会社の後輩・仁志が新築の一軒家を購入したということで、週末に遊びに行った。郊外の住宅街にあり、周囲も静かで落ち着いた雰囲気だった。 仁志は「いい土地が手に入った」と嬉しそうに話していた。そして... -
ただいま
俺が小学6年のとき、母が事故で亡くなった。父と二人暮らしになって、家の中はどこか静かになった。 それでも、父は毎日夕飯を作ってくれて、俺も学校を休まず通っていた。 ある日、家に帰ると、父が台所で料理をしていた。「おかえり」と言うその声が、な... -
最後の通話
大学時代の同級生・村上が突然事故で亡くなった。飲酒運転の車にはねられ、その場で即死だったという。通夜に参加した夜、帰宅した私は村上との思い出に浸りながら、彼の名前が登録されたスマートフォンの連絡先を眺めていた。 そのとき——突然、スマホが鳴... -
深夜のエレベーター
友人の佐々木が一人暮らしを始めたのは、築年数の古い10階建てのマンションだった。家賃が安い代わりに、エレベーターは古く、ボタンを押してもすぐに来ないことが多かったという。 ある晩、深夜0時を回った頃、仕事帰りの佐々木がマンションに戻ると、1階...
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