怪異– tag –
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つながった通話
大学時代の友人に、妙な男がいた。 斉藤という男で、特別変わったところはないのだが、「通話が苦手」だと常に言っていた。LINEのやり取りは普通にするし、会えばよく喋る。けれど、電話になると絶対に出ない。こちらからかけても折り返してこないし、「用... -
一人暮らし
大学進学を機に、念願の一人暮らしを始めた。古いけど広めのワンルームで、家賃も安い。何より「完全に一人になれる」ことが何よりの魅力だった。 最初のうちは少し寂しさもあったけど、慣れてくるとむしろ快適。誰にも気を使わず、夜中まで動画を観たり、... -
裏山の祠
私の祖父母の家は、山に囲まれた小さな村にあった。子どもの頃は毎年夏休みにそこへ行くのが楽しみで、自然の中で自由に遊べることが何よりの喜びだった。 しかし、村にはひとつだけ「絶対に近づいてはいけない」と言われていた場所がある。 それが、**裏... -
見知らぬ番号
深夜2時過ぎ、スマホが震えて目が覚めた。画面を見ると「非通知設定」の番号から着信。無視しようとしたが、何度も鳴る。 寝ぼけたまま通話ボタンを押すと、少し間をおいて、小さなノイズ混じりの声が聞こえてきた。 「……みえてるよ……」 ゾッとした。誰か... -
三階の窓
俺が中学生のころに通っていた学校は、戦後すぐに建てられた古い校舎で、ところどころにヒビが入っていたり、床が軋んだりしていた。 中でも不気味だったのが、旧校舎の三階。普段は使用されていないが、美術準備室だけがそのフロアにあり、授業のたびに誰... -
ベランダの向こうの顔
引っ越してきたばかりのマンションで、奇妙なことが起き始めたのは、5日目の夜だった。 東京郊外の新築物件。1LDKでオートロック、防音も完璧、築浅で家賃も安い。「これは掘り出し物だ」と思った俺は即決で契約した。初日は静かすぎて逆に落ち着かないほ...
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