幽霊– tag –
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毎朝の挨拶
僕が通っていた小学校は、地方の山間にあり、全校生徒で60人程度の小さな学校だった。 家から学校までは徒歩15分ほど。登校途中に通るT字路の角には、古い家が一軒だけ建っていた。 その家には、おばあさんが一人で住んでいて、毎朝、家の前を通る僕... -
午後4時44分の訪問者
大学生の夏休み、僕は田舎の祖母の家に1週間ほど滞在することになった。 祖母はとても元気で優しい人だが、築80年を超える古い日本家屋には、やはりどこか独特の雰囲気があった。 滞在3日目の午後、縁側で本を読んでいた僕に、祖母が話しかけてきた。 ... -
見知らぬ名前の表札
就職して3年目の春、会社の近くに引っ越した。 内見のときから、どこか薄気味悪さを感じてはいたが、家賃の安さと立地に惹かれ、深く考えずに契約した。 引っ越し当日、玄関の表札に気づいた。「佐々木」と書かれていた。 前の住人のものかと思い、不動産... -
夜中に鳴るインターホン
俺が一人暮らしを始めて2年目の頃、都内の古いマンションに引っ越した。駅からは少し遠かったが、家賃も安く、部屋も広くて満足していた。 入居してから1週間ほど経ったある夜、午後11時を過ぎたころだった。突然、「ピンポーン」とインターホンが鳴った。... -
三階の窓
俺が中学生のころに通っていた学校は、戦後すぐに建てられた古い校舎で、ところどころにヒビが入っていたり、床が軋んだりしていた。 中でも不気味だったのが、旧校舎の三階。普段は使用されていないが、美術準備室だけがそのフロアにあり、授業のたびに誰... -
呼ばれた名前
これは、大学時代に山奥のロッジに泊まりに行ったときの話だ。仲の良い友人4人での小旅行。季節は秋。紅葉が美しい場所で、バーベキューと星空を楽しもうという計画だった。 ロッジは古かったが、雰囲気があり、夜になるとあたりは完全な闇に包まれた。携... -
赤いランドセル
当時、俺は地方の新聞社に勤めていた。取材のためにある田舎町を訪れたのは、梅雨の真っ只中だった。 駅から車で20分ほどの小さな集落。目当ては、地元で語られる「迷子神社」という場所に関する地域伝承だった。 神社は山の中腹にひっそりと建っており、... -
閉ざされた階段
高校卒業後、地方の大学に進学した俺は、古びた学生寮に入ることになった。駅から徒歩15分、築50年を超える古い木造の建物で、廊下はギシギシと鳴り、風の強い日には窓が勝手に開いたり閉まったりする。まあ、家賃が安いから文句は言えない。 その寮には“... -
ロッジの寝袋
高校3年の夏休み、仲の良い友人6人で山奥のロッジに一泊旅行へ行った。キャンプ場というよりは、ちゃんとした木造のロッジで、水道も電気も通っており、寝袋だけ持ち込めば快適に過ごせる場所だった。 「ホラー大会しようぜ!」と誰かが言い出し、夜は懐中... -
おばあちゃんの家
先週、田舎の祖母の家に泊まりに行った。築50年以上の木造家屋で、廊下は歩くたびにギシギシと音を立て、夜になると風が窓を揺らす音が響く。 小学生の頃はよく遊びに来ていたが、大人になってからは久しぶりだった。祖母は相変わらず優しく、夕食後も僕の... -
ブランコの女の子
僕の部屋の窓からは、家の裏にある小さな空き地が見える。その空き地には、古びたブランコがひとつだけポツンと設置されていた。 ある日、そのブランコに乗っている女の子を見かけた。真っ白なワンピースに肩までの黒髪。年齢は6〜7歳くらいだろうか。無表... -
家族写真
彼女の実家に初めて挨拶に行った日のことだ。玄関をくぐると、廊下にずらりと家族写真が並んでいた。親戚や子供のころの写真もあり、温かい家庭なんだなと思った。 彼女の母親が出迎えてくれ、少し緊張しながらもリビングでお茶をご馳走になった。「うちの...
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