ヒトコワ– tag –
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隣人のカメラ
私が今のマンションに引っ越してきたのは、春先だった。最上階の角部屋で、日当たりも良く、駅からも近い。完璧な物件だと思っていた。 ただ一つ、少しだけ気になる点があった。 隣の部屋の住人が、いつもこちらを見ていることだった。 引っ越しの挨拶をし... -
バスの中の見知らぬ女
その日、私はいつも通り仕事を終え、終電間際の路線バスに乗って帰宅しようとしていた。バスは地方路線で、利用客も少ない。街灯の少ない道を、揺られながら走る。 車内には運転手と私を含め、4人ほどしか乗っていなかった。誰も話すこともなく、スマホを... -
押し入れのメモ帳
大学進学で一人暮らしを始めた俺は、郊外の古いアパートに住んでいた。築年数は相当経っているが、家賃が破格だったためすぐに契約した。 引っ越し当日、部屋を掃除していると、押し入れの奥に古いメモ帳が落ちていた。ボロボロの表紙で、ところどころシミ... -
鍵が開いていた部屋
大学1年の春、俺は学生寮ではなく、少し離れた安アパートを借りて一人暮らしを始めた。築40年近いボロアパートで、家賃は格安だったが、防音性はほぼ皆無だった。 隣室の目覚ましが聞こえるほどで、最初はうるさく感じていたものの、だんだんと慣れていっ... -
駅で待っていた男
会社帰り、いつものように夜10時過ぎの電車に乗った。駅のホームはほとんど人がいなくて、電車もがらがらだった。 俺はつり革に掴まりながら、スマホでニュースを見ていた。 ある駅で乗客が1人乗ってきた。スーツ姿の中年男。顔はよく見えなかったが、やけ... -
扉の向こうの男
社会人1年目の夏、俺は安アパートで一人暮らしをしていた。築40年を超える木造のアパートで、2階建ての4世帯。風呂もなく、トイレは共同。 家賃は安いが、天井や床が薄く、隣の生活音が筒抜けだった。 ある晩のこと。深夜2時を回っても眠れず、スマホを眺... -
シェアハウスの地図
大学を卒業したばかりの春、俺は東京で就職が決まり、都内の格安シェアハウスに住むことになった。築古の一軒家をリノベーションした物件で、全部で5人の住人がいた。 家賃は安く、個室もあり、共有スペースにはキッチンとシャワーがあった。住人同士の交... -
監視アプリ
大学2年の春、彼女と同棲を始めた。1Kの狭い部屋だったが、ふたりで暮らせるだけで楽しくて仕方がなかった。 彼女は少し嫉妬深い性格で、「浮気だけは絶対に許さないからね」とよく言っていた。そんな冗談めかした脅しも、最初のうちは可愛いと思っていた... -
赤いランドセル
当時、俺は地方の新聞社に勤めていた。取材のためにある田舎町を訪れたのは、梅雨の真っ只中だった。 駅から車で20分ほどの小さな集落。目当ては、地元で語られる「迷子神社」という場所に関する地域伝承だった。 神社は山の中腹にひっそりと建っており、... -
住人のいない隣室
都内の小さなアパートに引っ越して半年になる。会社からも近く、家賃も安くて、ひとり暮らしには十分な部屋だった。 だが、ひとつだけ不思議なことがある。隣の部屋から、毎晩「音」がするのだ。 それは決まって深夜1時過ぎ。壁越しに「カタカタ」「ギィィ... -
知らない番号の男
大学1年の頃、スマホに突然、見覚えのない番号から着信があった。非通知ではなく、市内局番だったので「誰かの間違いかな」と思い、無視した。 だが、次の日も同じ番号から電話が来た。試しに出てみると、無言のまま数秒が経ち、最後にひとことだけ聞こえ... -
隣人のメモ
社会人1年目、会社の近くにある築浅のマンションに引っ越した。オートロック、宅配ボックス付き、駅から徒歩5分。文句なしの物件だった。 唯一の気がかりは、隣人の存在だった。一度も顔を見たことがなかったのだ。 毎朝出勤時、ポストの前で会いそうにな...