怪談– tag –
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夜の神社と足跡
私が大学時代、地元に帰省していたときの話だ。ある晩、幼なじみのタケルと深夜ドライブをしていると、山のふもとにある古びた神社の前を通りかかった。 「なあ、肝試しでもしないか?」 タケルがそう言ってきた。彼は昔から怖いもの知らずで、私の嫌がる... -
ママの携帯
小学1年生の妹が、最近よくママのスマホで写真を撮るようになった。「見てー、ママの真似してるの!」と言いながら、カメラを向けてカシャッと音を鳴らしては笑っている。 ママは仕事でいつも帰りが遅いから、妹はママのスマホを持って遊んでいる時間が多... -
止まらない呼び鈴
大学を卒業し、一人暮らしを始めたばかりの春のこと。引っ越し先は駅から少し離れた、古い木造アパートだった。築年数はかなり経っていたが、家賃が安く、何より静かな環境が気に入っていた。 だが、ある夜を境に、その平穏は崩れた。 深夜2時。眠っている... -
赤い人形
私が引っ越したのは、都内から少し離れた古びた団地だった。家賃の安さと、駅からの距離に惹かれて即決したが、最初からどこか妙な雰囲気を感じていた。 入居当日、押し入れの奥に小さな箱が置かれていた。中には、赤い着物を着た日本人形が入っていた。ガ... -
祖母の押し入れ
私の祖母の家は、築六十年を超える古民家だった。田舎にしては広く、部屋が六つもあり、床の軋む音が常にどこかから聞こえていた。 私は小学生の夏休み、毎年そこに一週間ほど泊まりに行っていた。縁側でスイカを食べたり、近くの川で遊んだりするのが楽し... -
バスの中の見知らぬ女
その日、私はいつも通り仕事を終え、終電間際の路線バスに乗って帰宅しようとしていた。バスは地方路線で、利用客も少ない。街灯の少ない道を、揺られながら走る。 車内には運転手と私を含め、4人ほどしか乗っていなかった。誰も話すこともなく、スマホを... -
見知らぬ番号
深夜2時過ぎ、スマホが震えて目が覚めた。画面を見ると「非通知設定」の番号から着信。無視しようとしたが、何度も鳴る。 寝ぼけたまま通話ボタンを押すと、少し間をおいて、小さなノイズ混じりの声が聞こえてきた。 「……みえてるよ……」 ゾッとした。誰か... -
夜中に鳴るインターホン
俺が一人暮らしを始めて2年目の頃、都内の古いマンションに引っ越した。駅からは少し遠かったが、家賃も安く、部屋も広くて満足していた。 入居してから1週間ほど経ったある夜、午後11時を過ぎたころだった。突然、「ピンポーン」とインターホンが鳴った。... -
三階の窓
俺が中学生のころに通っていた学校は、戦後すぐに建てられた古い校舎で、ところどころにヒビが入っていたり、床が軋んだりしていた。 中でも不気味だったのが、旧校舎の三階。普段は使用されていないが、美術準備室だけがそのフロアにあり、授業のたびに誰... -
呼ばれた名前
これは、大学時代に山奥のロッジに泊まりに行ったときの話だ。仲の良い友人4人での小旅行。季節は秋。紅葉が美しい場所で、バーベキューと星空を楽しもうという計画だった。 ロッジは古かったが、雰囲気があり、夜になるとあたりは完全な闇に包まれた。携... -
赤い手形の部屋
大学4年の春、就職も決まり、最後の学生生活を楽しむために、友人3人と一緒に旅行に出かけた。行き先は山奥の温泉地。旅館ではなく、安く借りられる古民家風の一軒家に宿泊することにした。 その家は、木造で築年数が相当経っていたが、風情があり、雰囲気... -
耳鳴りの部屋
社会人2年目、引っ越し先を探していたときの話だ。都内で家賃5万円台の1Kという好条件の物件を、不動産サイトで偶然見つけた。立地も駅から徒歩10分以内、築年数もそこまで古くはない。まさに掘り出し物だった。 すぐに内見を申し込むと、不動産会社の担当...