大学時代の同級生・村上が突然事故で亡くなった。飲酒運転の車にはねられ、その場で即死だったという。
通夜に参加した夜、帰宅した私は村上との思い出に浸りながら、彼の名前が登録されたスマートフォンの連絡先を眺めていた。
そのとき——突然、スマホが鳴った。
画面には「村上 携帯」と表示されている。
「えっ……?」
信じられない思いで、私はしばらくその場で固まった。いたずらか、誰かの間違いか、あるいは……。
だが、通夜に参列した誰もが知っているはずだ。彼のスマホは事故当時、真っ二つになっていたという。
通話は30秒ほど鳴り続けたあと、切れた。留守番電話もなし。
鼓動が落ち着かないまま、私はスマホをベッド脇に置いて寝ることにした。
午前2時過ぎ。スマホの通知音で目を覚ます。
確認すると——再び「村上 携帯」からの着信履歴があった。
今度は、留守番電話も残されていた。
震える指で再生ボタンを押す。
「……おーい、聞こえるか? おい、ここ、どこだよ……真っ暗で何も見えない……寒い……なぁ、誰か、出してくれよ……おい、聞いてるか……? ……助けて……」
その声は、確かに村上だった。
その翌日、通夜のときに話した友人たちも、同じ時間帯に「村上」からの不在着信があったことが分かった。
中には留守電が入っていた者もいて、内容はどれも似通っていた。
携帯会社に確認したところ、村上の番号は事故当日、すでに解約されていたという。
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