中学の修学旅行、俺は仲のいい3人と同じ部屋になった。
夜にふざけて心霊写真を撮ろうという話になり、スマホを持ち出して廊下や非常階段をうろついた。
深夜2時過ぎ、Aが「一番怖い顔したやつが勝ちってルールな」と言い出した。
俺はふざけて白目をむき、階段の踊り場でポーズをとった。
Bがカメラを構え、「はい、撮るよー」とシャッターを押した。
その場は爆笑で終わったが、翌朝、Bが顔を青ざめてスマホを見せてきた。
「これ……誰が撮ったと思う?」
画像には、白目をむいた俺が階段に立っていて、
後ろに小さくAとBが笑ってこっちを見ているのが写っていた。
「え、誰が撮ったのこれ?」
Bは言った。
「俺は構えてたけど……シャッター押してない。てか、タイミング的に誰も押せるはずがないんだよ」
Cは自分のスマホで撮ったのかと聞いたが、彼は「いや、俺、写真アプリすら起動してない」と答えた。
気味が悪くなって、それ以上その話はしなかった。
でも、修学旅行が終わった後、Aがぽつりと言った。
「お前さ、写真に写ってた時、後ろにいたのって、俺とBじゃなかったよな?」
俺は「は?」と聞き返した。Aは首を振って、「……なんでもない」と呟いた。
結局、写真は誰が撮ったのかわからず、
スマホのデータごと削除した……つもりだった。
それから数年後、俺のスマホのバックアップを整理していた時、
その写真が“最近の画像”フォルダに復活していた。
そこに写っていたのは、白目をむいた俺と、
背後で笑っているAとB。
……だけじゃなかった。
よく見ると、AとBのさらに後ろに、
もう1人、笑っている人間がいた。
俺たちはその旅行中、4人で行動していたはずだ。
そして、階段の写真を「誰が撮ったのか」ずっとわからないままだ。
コメント