怪談– category –
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閉じ込められたのは私じゃない
高校時代の話だ。俺の学校では「旧校舎の3階には絶対に入るな」という噂があった。 理由ははっきりしない。ただ、何年も使われていないその一角は、常に鍵がかかっていて、教員すら近づこうとしなかった。当然、生徒たちの間では心霊スポットとして有名で... -
耳鳴りの部屋
社会人2年目、引っ越し先を探していたときの話だ。都内で家賃5万円台の1Kという好条件の物件を、不動産サイトで偶然見つけた。立地も駅から徒歩10分以内、築年数もそこまで古くはない。まさに掘り出し物だった。 すぐに内見を申し込むと、不動産会社の担当... -
エレベーターの奥
大学2年の春、俺は古いマンションに引っ越した。都内にしては破格の家賃。駅からも近くて条件はよかったが、築年数は40年以上で、エレベーターも昭和感のある機械式だった。 「安い理由はこれか」と思ったが、当時の俺にはそんなことどうでもよかった。と... -
午前2時のチャイム
私が大学生のとき、都内の安アパートで一人暮らしをしていた。築30年の木造2階建てで、壁は薄く、隣室の咳払いすら聞こえてくるような場所だったが、家賃が安いので特に不満はなかった。 ある日の深夜、午前2時過ぎ。ウトウトしていると、「ピンポーン」と... -
閉ざされた階段
高校卒業後、地方の大学に進学した俺は、古びた学生寮に入ることになった。駅から徒歩15分、築50年を超える古い木造の建物で、廊下はギシギシと鳴り、風の強い日には窓が勝手に開いたり閉まったりする。まあ、家賃が安いから文句は言えない。 その寮には“... -
手形の窓
大学時代の友人、渡辺が住んでいたマンションには、少し奇妙な噂があった。彼が借りていたのは10階建ての最上階、角部屋。ベランダの向こうには隣の建物もなく、風景を遮るものがない開放的な部屋だった。 「景色がいいから気に入ってるんだよ」と彼は言っ... -
押し入れの文字
数年前、郊外で一軒家の中古物件を見に行ったときのことだった。駅からは少し離れていたが、庭付きで価格も安く、築年数の割に外観はきれいだった。ネットの写真で見た限りでは申し分ないように思えた。 約束の時間に現地へ行くと、不動産会社の担当者が玄... -
三人目の宿泊客
大学時代、夏の終わりに友人と二人で温泉旅行に出かけた。お互い節約志向だったので、ネットで見つけた格安旅館に泊まることにした。口コミには「古くて不気味だが安い」とあったが、値段の安さに勝てなかった。 旅館は山の中にあり、木造三階建ての古びた... -
七人目の宿泊客
ある山奥に、泊まると「人数が増える」と噂されている古い民宿がある。ネットではあまり情報が出てこないが、地元では有名な話らしく、「気味が悪いけど料理は美味しい」と奇妙な評判が立っていた。 大学のゼミ合宿で、僕たち6人はその民宿に泊まることに... -
隣人は空室のはずだった
僕が今住んでいるアパートは、築40年以上の古い建物だ。古びた外観に、薄暗い共用廊下。けれど駅から近く、家賃が相場よりもかなり安かったことが決め手だった。 入居当初から少し気になる点があった。それは、隣の201号室に郵便物が山のように溜まってい... -
白衣の診療所
ある山奥に、すでに使われなくなった診療所がある。地元では有名な肝試しスポットで、「白衣の医者が今も出る」と噂されていた。 大学時代、夏休みに友人4人とその診療所を訪れた。時刻は夜の11時を過ぎていたが、あえて暗い時間を狙って来たのだ。 入り口... -
二度鳴るチャイム
会社からの帰宅が遅くなった平日の深夜、時刻は0時を過ぎていた。駅から自宅までは歩いて10分ほどだが、人通りもなく、あたりは静まり返っていた。 マンションのエントランスをくぐり、自室のある3階へと階段を上る。オートロックを解除してから玄関の鍵を...