ヒトコワ– category –
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おかえりって言ったよね?
会社からの帰りが少し遅くなったある晩、私はマンションのエントランスでエレベーターを待っていた。 深夜0時を過ぎた静まり返ったロビー。誰もいないはずなのに、後ろから「カツ……カツ……」と足音が近づいてくる。 なんとなく振り返れずにいると、耳元で「... -
無言の客
私は都内の個人経営のカフェでバイトをしている。平日の夜は客も少なく、ほとんどが常連か近所の会社員だった。 ある日、閉店1時間前の午後9時頃、一人の女性客が来店した。30代前半くらい。長い黒髪で、薄いベージュのコートを羽織っていた。印象的だった... -
もう一人の住人
私が住んでいるマンションは、都内にあるいわゆる「ワンルーム」タイプで、学生や独身者が多く暮らしている。その中でも、私の部屋は角部屋で、片隣は空室になっていると聞いていた。 ある日、夜にコンビニから戻ると、隣の部屋の前に誰かが立っていた。暗... -
隣人のカーテンは、なぜ開かないのか?
大学進学を機に、私はある古いアパートへと引っ越した。築40年のその建物は多少の不便はあったものの、駅近で家賃も安く、学生にはありがたい物件だった。 私の部屋は2階の端。隣の部屋には、20代後半くらいの男性が住んでいるらしい。しかし、私はその人...