ヒトコワ– category –
ヒトコワとは、幽霊よりも人間の怖さを描いた実話ベースの怖い話ジャンルです。身近に起こりそうな恐怖や、ゾッとする人間の心理がテーマになっています。
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助けたつもりだった
その日、私はいつもより少し早く会社を出た。まだ陽がある時間帯に帰れるなんて久しぶりだった。 家までは電車で20分、駅からは徒歩15分の住宅街。住宅街に入ったあたりで、小さな公園の前を通ったときのことだ。 「すみません……」 女の子の声がした。 小... -
その通知、あなたに届いていますか?
ある日、スマートフォンに“謎の通知”が届いた。 『あなたの部屋に新しいメモが追加されました』 そんなアプリ、入れた覚えはない。 通知をタップしても何も起こらない。どのアプリが出している通知なのかも不明だった。 「バグかな」と思って放置していた... -
静かな部屋
転職を機に一人暮らしを始めた。会社から徒歩10分ほどの築浅マンションで、立地のわりに家賃も安く、内見のときもとても静かだった。壁も厚く、防音もしっかりしている。 ……と、思っていた。 入居して数日後、夜に家でくつろいでいると、壁の向こうからか... -
見守りカメラ
高齢の祖母が一人暮らしをしていた。最近足腰が弱くなってきたこともあり、家族の提案で「見守りカメラ」を設置することになった。 居間の隅に小さなカメラを設置し、スマホでリアルタイム映像を確認できるようにした。通知設定をオンにすれば、「動きがあ... -
不在票
引っ越してきて1ヶ月ほどが経った頃。その日も普通に仕事を終えて、夜8時すぎに帰宅した。 玄関を開けると、ドアポストに不在票が入っていた。 『◯月◯日 18:40 ご不在のため持ち帰りました』 宅配便だった。 特に注文した覚えはなかったが、名前と住所は... -
となりの住人
アパートで一人暮らしを始めて、3ヶ月が経った頃だった。築年数は古いが、駅近で家賃も安く、最上階の角部屋ということで、静かに暮らせるのが気に入っていた。 ただ一つだけ、気になることがあった。隣の部屋に住む人の姿を、一度も見たことがないのだ。 ... -
上の階の足音
一人暮らしを始めて半年ほどが経った頃の話だ。都内の築浅マンションで、セキュリティもオートロックもしっかりしていて、特に不満もなく暮らしていた。 ただ、少しだけ気になることがあった。夜になると、上の階から足音が聞こえるのだ。 ドタドタと歩く... -
鍵を開けたのは、私じゃない
都内の1Kマンションに引っ越してきたのは、仕事の都合だった。職場まで徒歩15分という立地に惹かれて決めた物件は、築20年だが小綺麗で、オートロックもついている。家賃も手頃で、特に問題はなかった。 最初の異変は、引っ越してから3日目の夜に起こった... -
ただの通行人
ある日曜の午後、近所の公園を散歩していたときのことだ。その公園は小さな池と遊具があるだけの、のどかな場所で、私は休日になると読書をしに訪れるのが習慣だった。 その日も、ベンチに腰掛けて本を読んでいた。30分ほどたった頃、ふと視線を感じて顔を... -
隣人の記録ノート
一人暮らしを始めて3ヶ月ほど経ったころ、隣の部屋に新しい住人が引っ越してきた。 30代くらいの男性で、どこか人付き合いに不慣れな雰囲気だった。すれ違うたびに軽く会釈はするが、会話は一度もなかった。 ある夜、帰宅して部屋に入ろうとしたとき、ふと... -
鍵の合う部屋
大学に入学してすぐ、一人暮らしを始めた。 家賃を抑えるため、古いけれど駅に近いアパートを選んだ。築40年のその建物は木造で、2階建て。私は1階の101号室に住んでいた。 引っ越し当初、特に問題はなかった。隣の部屋(102号室)には誰か住んでいるらし... -
隣人のノック
大学進学を機に、私は小さなワンルームマンションに引っ越した。古びた建物だったが、駅から近く、家賃も安かった。 最初の一ヶ月は特に問題もなく、快適に暮らしていた。 だが、引っ越してからちょうど一ヶ月が経った頃だった。夜、就寝前にふと「コンコ...