ヒトコワ– category –
ヒトコワとは、幽霊よりも人間の怖さを描いた実話ベースの怖い話ジャンルです。身近に起こりそうな恐怖や、ゾッとする人間の心理がテーマになっています。
-
深夜の引っ越し作業
そのアパートには、少し奇妙な噂があった。 「深夜に引っ越し作業をする住人がいる」と──。 私がその物件に住み始めたのは、転職を機に地方から上京してきた春。 家賃が安いわりに駅からも近く、外観も綺麗で、いい物件だと思った。 しかし、最初の... -
最後の客
私は大学時代、都内のあるファミレスで夜勤のバイトをしていた。 深夜のシフトは人が少なく、静かで単調な作業が多かったが、ある出来事を境に夜勤が怖くなった。 その日も、私はいつものように23時から朝5時までの勤務に入っていた。 深夜2時を過ぎ... -
向かいの窓
僕が今のアパートに引っ越してきたのは、半年前のことだ。 職場にも近く、日当たりもよくて気に入っていたが、ひとつだけ気になることがあった。 それは、向かいのマンションの部屋の窓だった。 毎晩、深夜になるとその部屋の窓から誰かがじっとこち... -
ゴミ捨て場の男
この話は、私が大学を卒業して初めて一人暮らしを始めたときのこと。 都内の小さなアパートで、駅から少し離れていたが、家賃も安く、それなりに気に入っていた。 ただ一つ、気になることがあった。 毎朝、ゴミ捨て場に“同じ男”がいるのだ。 その... -
見てた人
俺は普段、深夜まで働くことが多い。 ある日、終電で帰宅した俺は、駅から自宅までの15分ほどの道のりを、いつも通りイヤホンをしながら歩いていた。 住宅街に入り、何気なくイヤホンを外したとき、不意に誰かの気配を感じた。 背後ではない。前方の道... -
となりの部屋の音
大学進学で一人暮らしを始めて数ヶ月が経った頃、アパートの「となりの部屋」から妙な物音がするようになった。 最初は、夜中に何かを落としたような“ゴンッ”という鈍い音だった。 古いアパートだし、物音が響くのはよくあることだと思っていた。 け... -
見守る隣人
大学に進学して、一人暮らしを始めたのは昨年の春だった。 家賃を抑えたくて選んだのは、築30年近い古いワンルームアパート。駅から徒歩15分、最寄りのコンビニまでは坂道を下らないといけない立地だ。 ただ、内見のときに対応してくれた管理人さんが... -
見守りアプリ
最近の子どもはスマホを持つのが当たり前らしい。 娘の学校でも、位置情報が共有できる「見守りアプリ」の使用が推奨されていた。 心配性の僕と妻も、早速そのアプリを導入した。 学校への行き帰りはもちろん、塾や遊びに行った先でも、地図上で娘の居... -
空き部屋の鍵
僕が大学2年のときに住んでいたアパートは、築30年近い古い木造だった。 安さに惹かれて選んだ物件で、風呂トイレ別で家賃は3万円ちょっと。周囲には学生が多く、特に不満もなかった。 隣の部屋──つまり「203号室」だけは、ずっと空き部屋のままだった... -
同じ鍵を持つ男
私は大学を卒業してすぐ、郊外の賃貸マンションで一人暮らしを始めた。 新築ではなかったが、築10年ほどで清潔感もあり、なによりオートロック付きという点に安心感を覚えた。 引っ越し当初は何も問題なく、快適な生活を送っていた。 だが、ある日を境... -
防犯カメラに映っていたのは
私は地方の小さなアパートで一人暮らしをしている社会人だ。仕事はリモート中心のシステム関係。平日はほとんど家にいる。 ある日、管理会社から「最近、住民の荷物が荒らされるという報告があった」との連絡が入った。 私は玄関前に宅配BOXを使うこと... -
親切なおじさん
大学からの帰り道、夕方の公園で私は見知らぬ中年男性に声をかけられた。 「ちょっといいかな、お嬢さん。道を尋ねたいんだ」 その人は背広姿で、手にスマホを持っていた。40代くらいだろうか。私は警戒しながらも、あからさまに無視するのも気が引けて、...