投稿一覧
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二階にいるのは誰?
大学時代、下宿していた古い一軒家。家賃が異様に安く、部屋も広かったため即決したが、大家から引っ越しのときに一つだけ注意された。 「夜中、二階には行かないように」 理由を聞いても、「古い家だから、音がするのは気にしないように」と曖昧に濁され... -
落とし物の持ち主
近所のスーパーに買い物に行った帰り道。道端に落ちていた赤い手袋にふと目がとまった。 片方だけ。子供用だろうか、小さくて、可愛らしい柄だった。 そのとき、すぐ近くに女の子が立っているのに気づいた。6〜7歳くらい。まっすぐこちらを見ていた。 「あ... -
訪問者リスト
大学の春休みに、知人の紹介でビル管理会社のアルバイトをすることになった。業務内容は単純で、テナントの入れ替え時に空室を巡回したり、防犯カメラのチェックをしたりするだけだった。 問題のビルは、都内の古い雑居ビル。6階建てで、上の階はほとんど... -
見てはいけない窓
大学2年の夏、友人から格安のアパートを紹介された。ボロいけど駅からも近く、家賃は相場の半額以下。怪しいとは思ったが、金もなかったし、見た目もそれなりだったので契約することにした。 ただ、ひとつだけ気になる点があった。部屋の北側に小さな窓が... -
封筒の中のメモ
引っ越しの荷ほどきをしていたとき、古びた封筒が出てきた。 見覚えのない封筒だったが、差出人欄には自分の名前が書かれていた。筆跡も、自分のものに見える。 中には、小さく折り畳まれた一枚の紙が入っていた。 『絶対にこの部屋に戻ってくるな』 意味... -
いつも見てます
在宅ワークに切り替えてからというもの、部屋にいる時間が格段に増えた。 特に外に出る理由もなく、朝から晩までPCに向かい、たまに食事や風呂で動く程度。人との接点も減り、顔を合わせるのは宅配便の配達員くらいだった。 ある日、ポストに小さな紙が入... -
午前二時のチャイム
僕の住むアパートには、昔から妙な噂があった。 「午前二時にチャイムが鳴ると、誰かがいなくなる」 くだらない都市伝説だと思っていた。けれど実際、過去にこのアパートで失踪した住人が何人かいたらしい。管理人もはっきりとした原因は分からないと濁す... -
留守番電話の声
一人暮らしを始めてから半年ほど経った頃。ある日、携帯に着信履歴が残っていた。非通知だったが、なぜか気になって留守番電話を再生してみた。 「……たすけて……たすけて……」 かすれた女性の声だった。聞き取れるのはその一言だけで、あとは何かを擦るよう... -
誰もいないはずの隣室
仕事の都合で、都内のウィークリーマンションを借りた。築年数はそれなりだが、内装はきれいで、駅からも近い。1Kのシンプルな間取りで、左右の部屋との距離もそれほど近くない。騒音の心配もないと思っていた。 だが、初日の夜。隣の部屋から、かすかな物... -
風鈴の鳴る夜
夏の夜、祖母の家に泊まりに行ったときのことだった。 その家は山あいの集落にあり、木造で、年季の入った建物だった。昼間は蝉の声が響き、のどかな雰囲気が漂っていたが、夜になると一変する。虫の声以外、何も聞こえない静寂の中、風の音だけが妙に耳に... -
忘れられたカメラ
実家の物置を整理していたときのことだ。埃をかぶった段ボールの中から、古いデジタルカメラが出てきた。僕が中学生のころに買ってもらったものだ。 懐かしくなって電源を入れてみたが、バッテリーが切れていた。充電器も見つかったので、久しぶりに動かし... -
見知らぬ名前の表札
大学2年の春、格安のシェアハウスに引っ越した。築年数は古いが、広いリビングと共用のキッチン、各自の個室がある造りで、住人は全部で5人。初対面ながら皆気さくで、すぐに打ち解けた。 ただ、ひとつだけ奇妙なことがあった。 その家には「使われていな...