投稿一覧
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ユウタの部屋
小学生の頃、僕には「ユウタ」という友達がいた。同じクラスで、家も近く、毎日のように放課後は一緒に公園で遊んでいた。 ユウタは少し大人しい性格だったけど、いつも優しくて、僕の話をよく聞いてくれる子だった。家の話はあまりしなかったが、ある日、... -
最上階の影
私は数年前、深夜帯の清掃アルバイトをしていた。場所は都心にある24時間営業のオフィスビル。担当時間は深夜1時から4時。人がいない時間帯に、各階の廊下やトイレ、給湯室を清掃する仕事だった。 そのビルは地上10階建てで、私の担当は1階から3階まで。最... -
手形の窓
大学時代の友人、渡辺が住んでいたマンションには、少し奇妙な噂があった。彼が借りていたのは10階建ての最上階、角部屋。ベランダの向こうには隣の建物もなく、風景を遮るものがない開放的な部屋だった。 「景色がいいから気に入ってるんだよ」と彼は言っ... -
昨日の警察官
最近、近所で空き巣被害が増えているらしい。町内会の回覧板にも注意喚起のチラシが入っていたし、母も「玄関や窓の鍵、ちゃんと確認しなさい」と何度も言うようになった。 それでも特に危険を感じることもなく、僕はいつも通り学校に通い、夜にはいつも通... -
見つけたのは、どっち?
高校の帰り道、ふと気まぐれでいつもとは違う道を通ってみた。住宅街の中にある細い裏路地。人通りは少なく、街灯もまばらで、静かすぎるほどだった。 角を曲がったとき、道の先に誰かが立っているのが見えた。中年の男だった。ボサボサの髪、よれたスーツ... -
おばあちゃんの家
先週、田舎の祖母の家に泊まりに行った。築50年以上の木造家屋で、廊下は歩くたびにギシギシと音を立て、夜になると風が窓を揺らす音が響く。 小学生の頃はよく遊びに来ていたが、大人になってからは久しぶりだった。祖母は相変わらず優しく、夕食後も僕の... -
録画に映った男
一人暮らしを始めて半年が経った頃、妙な出来事が起こり始めた。 最初は、深夜2時ちょうどにインターホンが鳴るだけだった。モニターを確認しても、誰も映っていない。風の音か、通りすがりの誰かが間違えて押したのかもしれないと思い、その日は特に気に... -
七人目の宿泊客
ある山奥に、泊まると「人数が増える」と噂されている古い民宿がある。ネットではあまり情報が出てこないが、地元では有名な話らしく、「気味が悪いけど料理は美味しい」と奇妙な評判が立っていた。 大学のゼミ合宿で、僕たち6人はその民宿に泊まることに... -
三人目の宿泊客
大学時代、夏の終わりに友人と二人で温泉旅行に出かけた。お互い節約志向だったので、ネットで見つけた格安旅館に泊まることにした。口コミには「古くて不気味だが安い」とあったが、値段の安さに勝てなかった。 旅館は山の中にあり、木造三階建ての古びた... -
ブランコの女の子
僕の部屋の窓からは、家の裏にある小さな空き地が見える。その空き地には、古びたブランコがひとつだけポツンと設置されていた。 ある日、そのブランコに乗っている女の子を見かけた。真っ白なワンピースに肩までの黒髪。年齢は6〜7歳くらいだろうか。無表... -
背後の足音
夜11時過ぎ、仕事帰りにコンビニへ立ち寄った。買い物を済ませて家へ向かう途中、普段よりも少し近道をしようと、駅裏の細い商店街を抜ける路地を選んだ。 周囲には人影もなく、静まり返っていた。途中、背後からコツ……コツ……と、誰かの足音が聞こえてきた... -
隣人は空室のはずだった
僕が今住んでいるアパートは、築40年以上の古い建物だ。古びた外観に、薄暗い共用廊下。けれど駅から近く、家賃が相場よりもかなり安かったことが決め手だった。 入居当初から少し気になる点があった。それは、隣の201号室に郵便物が山のように溜まってい...