投稿一覧
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閉じ込められたのは私じゃない
高校時代の話だ。俺の学校では「旧校舎の3階には絶対に入るな」という噂があった。 理由ははっきりしない。ただ、何年も使われていないその一角は、常に鍵がかかっていて、教員すら近づこうとしなかった。当然、生徒たちの間では心霊スポットとして有名で... -
閉じ込められたのは私じゃない
ある日、友人の由美から「一人暮らしを始めたから遊びに来て」と連絡があった。引っ越したばかりのようで、「まだ何も揃ってないけど、それでも良ければ」と言う。 私はちょうど仕事が休みだったので、その日の午後に訪ねることにした。 由美の新居は、郊... -
住人のいない隣室
都内の小さなアパートに引っ越して半年になる。会社からも近く、家賃も安くて、ひとり暮らしには十分な部屋だった。 だが、ひとつだけ不思議なことがある。隣の部屋から、毎晩「音」がするのだ。 それは決まって深夜1時過ぎ。壁越しに「カタカタ」「ギィィ... -
エレベーターの奥
大学2年の春、俺は古いマンションに引っ越した。都内にしては破格の家賃。駅からも近くて条件はよかったが、築年数は40年以上で、エレベーターも昭和感のある機械式だった。 「安い理由はこれか」と思ったが、当時の俺にはそんなことどうでもよかった。と... -
おかえりの声
高校生の俺は、いつもより遅い時間に塾から帰宅した。家に着いたのは午後10時過ぎ。玄関の鍵を開けて中に入ると、暗がりの中から母の声がした。 「おかえり」 「ただいま」と返し、靴を脱いで部屋に入る。母の姿は見えなかったが、居間のテレビがついてい... -
隣人のメモ
社会人1年目、会社の近くにある築浅のマンションに引っ越した。オートロック、宅配ボックス付き、駅から徒歩5分。文句なしの物件だった。 唯一の気がかりは、隣人の存在だった。一度も顔を見たことがなかったのだ。 毎朝出勤時、ポストの前で会いそうにな... -
閉ざされた階段
高校卒業後、地方の大学に進学した俺は、古びた学生寮に入ることになった。駅から徒歩15分、築50年を超える古い木造の建物で、廊下はギシギシと鳴り、風の強い日には窓が勝手に開いたり閉まったりする。まあ、家賃が安いから文句は言えない。 その寮には“... -
弟の部屋
高校生の俺には、5つ下の弟がいる。年は離れているが仲は良く、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。 ある日、母が急用で外出することになり、夕方まで弟の面倒を見るよう頼まれた。俺は部屋でゲームをしていたが、弟がやたらと「遊んでー」とせがんでくる... -
知らない番号の男
大学1年の頃、スマホに突然、見覚えのない番号から着信があった。非通知ではなく、市内局番だったので「誰かの間違いかな」と思い、無視した。 だが、次の日も同じ番号から電話が来た。試しに出てみると、無言のまま数秒が経ち、最後にひとことだけ聞こえ... -
午前2時のチャイム
私が大学生のとき、都内の安アパートで一人暮らしをしていた。築30年の木造2階建てで、壁は薄く、隣室の咳払いすら聞こえてくるような場所だったが、家賃が安いので特に不満はなかった。 ある日の深夜、午前2時過ぎ。ウトウトしていると、「ピンポーン」と... -
ロッジの寝袋
高校3年の夏休み、仲の良い友人6人で山奥のロッジに一泊旅行へ行った。キャンプ場というよりは、ちゃんとした木造のロッジで、水道も電気も通っており、寝袋だけ持ち込めば快適に過ごせる場所だった。 「ホラー大会しようぜ!」と誰かが言い出し、夜は懐中... -
駅前の女
大学へ通う通学路の途中、駅前の交差点の角に、毎朝立っている女性がいた。 年齢は30代前半くらい。黒いスーツ姿で、手には何も持たず、ただ一点を見つめて立っている。表情は硬く、笑うこともなく、毎朝まったく同じ姿勢で、同じ場所にいた。 最初は「出...