投稿一覧
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裏山の祠
私の祖父母の家は、山に囲まれた小さな村にあった。子どもの頃は毎年夏休みにそこへ行くのが楽しみで、自然の中で自由に遊べることが何よりの喜びだった。 しかし、村にはひとつだけ「絶対に近づいてはいけない」と言われていた場所がある。 それが、**裏... -
お姉ちゃんの部屋
私は5歳の妹と2人で暮らしている。両親は数年前に事故で亡くなり、身寄りもいなかったため、私が保護者として妹を育てている。 妹は素直で元気で、特に問題もなく、静かな暮らしをしていた。 ただ、一つだけ気になることがあった。 妹が、毎晩眠る前に言う... -
隣人のノート
一人暮らしを始めて3ヶ月。隣の部屋には30代くらいの男性が住んでいた。見た目はおとなしそうで、あいさつをすれば軽く会釈を返してくる程度。 特に問題もなく過ごしていたが、あるときから妙な違和感を覚えるようになった。 朝、玄関前にゴミ袋を置いて出... -
赤い靴の足音
高校時代の話だ。当時、通学路の途中に使われていない廃校があった。木造の古い建物で、フェンスの向こうに校舎がひっそりと建っていた。 ある日、クラスの男子数人と肝試しをしようということになり、夜にその廃校を訪れた。 入口のフェンスは壊れていて... -
親切な通報者
ある町の警察署に、ある日1本の通報が入った。 「向かいの家のベランダに子どもが閉じ込められてるみたいなんです。大丈夫か見てきてもらえませんか?」 通報者は近所に住む30代くらいの男性で、名前と連絡先もちゃんと名乗った。現場に駆けつけた警官が確... -
引っ越し祝い
春先、私は引っ越しをした。都内の古いアパートだが、内装はリフォームされていて綺麗だった。何より、大家さんがとても親切だったのが印象的だった。 「ひとり暮らしは不安でしょう?何かあれば、いつでも声かけてくださいね」 その言葉に少し安心しなが... -
止まらない呼び鈴
大学を卒業し、一人暮らしを始めたばかりの春のこと。引っ越し先は駅から少し離れた、古い木造アパートだった。築年数はかなり経っていたが、家賃が安く、何より静かな環境が気に入っていた。 だが、ある夜を境に、その平穏は崩れた。 深夜2時。眠っている... -
ママの携帯
小学1年生の妹が、最近よくママのスマホで写真を撮るようになった。「見てー、ママの真似してるの!」と言いながら、カメラを向けてカシャッと音を鳴らしては笑っている。 ママは仕事でいつも帰りが遅いから、妹はママのスマホを持って遊んでいる時間が多... -
無断で片付けられる部屋
私は一人暮らしをしている。築年数は古いが、安くて駅も近く、それなりに気に入っていた。 だが、最近おかしなことが起きるようになった。帰宅すると、部屋の中が少しだけ片付いているのだ。 洗濯物がたたまれていたり、テーブルの上にあったはずのリモコ... -
夜の神社と足跡
私が大学時代、地元に帰省していたときの話だ。ある晩、幼なじみのタケルと深夜ドライブをしていると、山のふもとにある古びた神社の前を通りかかった。 「なあ、肝試しでもしないか?」 タケルがそう言ってきた。彼は昔から怖いもの知らずで、私の嫌がる... -
家の中の知らない
ある日、僕は古本屋で見つけた安い日記帳を買った。カバーに傷がある以外は真新しく、ページも白紙だった。使いやすそうだったので、簡単な日記でもつけてみようと思った。 最初のページに、自分の名前と住所を書き、日々の出来事を少しずつ書いていった。... -
バスの中の見知らぬ女
その日、私はいつも通り仕事を終え、終電間際の路線バスに乗って帰宅しようとしていた。バスは地方路線で、利用客も少ない。街灯の少ない道を、揺られながら走る。 車内には運転手と私を含め、4人ほどしか乗っていなかった。誰も話すこともなく、スマホを...