投稿一覧
-
階段の女
大学時代、私はサークルの仲間たちと廃墟探索に出かけることが多かった。 ある夏の夜、心霊スポットとして噂の廃ホテルへ行くことになった。 そのホテルは、山中にある5階建ての古い建物で、10年以上前に火災事故が起きて廃業したという。 メンバー... -
お母さんの味
僕の母は、料理がとても上手だった。 特にカレーは絶品で、近所の子どもたちも「○○くんの家のカレーが一番うまい」と言うほどだった。 僕が小学生の頃、母は病気で入退院を繰り返していた。 それでも、家にいるときは必ず僕の好きなものを作ってくれ... -
深夜の引っ越し作業
そのアパートには、少し奇妙な噂があった。 「深夜に引っ越し作業をする住人がいる」と──。 私がその物件に住み始めたのは、転職を機に地方から上京してきた春。 家賃が安いわりに駅からも近く、外観も綺麗で、いい物件だと思った。 しかし、最初の... -
赤いカーテンの部屋
これは、私の叔父が体験したという実話だ。 叔父は若い頃、地方のホテルでフロントスタッフとして働いていた。 そのホテルは山間にある古い建物で、昭和初期から営業を続けている老舗だった。 格式はあるが、設備は古く、特に客室の内装には独特の趣が... -
最後の客
私は大学時代、都内のあるファミレスで夜勤のバイトをしていた。 深夜のシフトは人が少なく、静かで単調な作業が多かったが、ある出来事を境に夜勤が怖くなった。 その日も、私はいつものように23時から朝5時までの勤務に入っていた。 深夜2時を過ぎ... -
優しい隣人
大学進学で一人暮らしを始めた春、私は格安のアパートに引っ越した。 2階建ての古びた建物で、壁が薄く、隣の部屋の音がよく聞こえるような場所だった。 けれど、家賃が安いぶん、文句は言えなかった。 引っ越してからしばらくして、隣の部屋の住人が... -
窓の外の影
私は学生時代、都内の築40年ほどの古いアパートに住んでいた。 6畳一間の狭い部屋だったが、駅から徒歩10分以内という立地の良さに惹かれて決めた部屋だった。 住み始めて数日後、ふとした違和感に気づいた。 夜になると、必ず窓の外に“誰か”が立って... -
誕生日のサプライズ
今日は僕の誕生日。 朝からLINEやSNSでたくさんのメッセージが届いていて、なんだか嬉しかった。 でも一番楽しみにしていたのは、彼女の由香が用意してくれた「サプライズ」だった。 「今日、家に来て。楽しみにしててね」 前日にそう言われていた。... -
ゴミ捨て場の男
この話は、私が大学を卒業して初めて一人暮らしを始めたときのこと。 都内の小さなアパートで、駅から少し離れていたが、家賃も安く、それなりに気に入っていた。 ただ一つ、気になることがあった。 毎朝、ゴミ捨て場に“同じ男”がいるのだ。 その... -
黒い部屋
高校時代の話だ。 当時、僕は放送部に所属していて、文化祭の映像企画の準備のため、放課後に校舎内を撮影して回っていた。 撮影係は僕と同級生の安藤。 二人でカメラを持ち、普段立ち入り禁止になっている旧校舎にも足を踏み入れた。 旧校舎はすで... -
お隣の人
一人暮らしを始めて3ヶ月目のこと。 僕は仕事の都合で、郊外の少し古びたマンションに引っ越した。 部屋は1Kで狭かったが、家賃も安く、コンビニも近くにあったので特に不満はなかった。 ただ、引っ越してすぐ、気になることが一つあった。 隣の部屋... -
向かいの窓
僕が今のアパートに引っ越してきたのは、半年前のことだ。 職場にも近く、日当たりもよくて気に入っていたが、ひとつだけ気になることがあった。 それは、向かいのマンションの部屋の窓だった。 毎晩、深夜になるとその部屋の窓から誰かがじっとこち...