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録画に映った男
一人暮らしを始めて半年が経った頃、妙な出来事が起こり始めた。 最初は、深夜2時ちょうどにインターホンが鳴るだけだった。モニターを確認しても、誰も映っていない。風の音か、通りすがりの誰かが間違えて押したのかもしれないと思い、その日は特に気に... -
七人目の宿泊客
ある山奥に、泊まると「人数が増える」と噂されている古い民宿がある。ネットではあまり情報が出てこないが、地元では有名な話らしく、「気味が悪いけど料理は美味しい」と奇妙な評判が立っていた。 大学のゼミ合宿で、僕たち6人はその民宿に泊まることに... -
三人目の宿泊客
大学時代、夏の終わりに友人と二人で温泉旅行に出かけた。お互い節約志向だったので、ネットで見つけた格安旅館に泊まることにした。口コミには「古くて不気味だが安い」とあったが、値段の安さに勝てなかった。 旅館は山の中にあり、木造三階建ての古びた... -
ブランコの女の子
僕の部屋の窓からは、家の裏にある小さな空き地が見える。その空き地には、古びたブランコがひとつだけポツンと設置されていた。 ある日、そのブランコに乗っている女の子を見かけた。真っ白なワンピースに肩までの黒髪。年齢は6〜7歳くらいだろうか。無表... -
背後の足音
夜11時過ぎ、仕事帰りにコンビニへ立ち寄った。買い物を済ませて家へ向かう途中、普段よりも少し近道をしようと、駅裏の細い商店街を抜ける路地を選んだ。 周囲には人影もなく、静まり返っていた。途中、背後からコツ……コツ……と、誰かの足音が聞こえてきた... -
隣人は空室のはずだった
僕が今住んでいるアパートは、築40年以上の古い建物だ。古びた外観に、薄暗い共用廊下。けれど駅から近く、家賃が相場よりもかなり安かったことが決め手だった。 入居当初から少し気になる点があった。それは、隣の201号室に郵便物が山のように溜まってい... -
白衣の診療所
ある山奥に、すでに使われなくなった診療所がある。地元では有名な肝試しスポットで、「白衣の医者が今も出る」と噂されていた。 大学時代、夏休みに友人4人とその診療所を訪れた。時刻は夜の11時を過ぎていたが、あえて暗い時間を狙って来たのだ。 入り口... -
もう一人のお兄ちゃん
僕の部屋の隣には、母子家庭の兄妹が住んでいた。兄は小学3年生くらいで、妹はまだ5歳ぐらい。いつも明るくて元気な声が聞こえてくる。母親は夜遅くまで働いているようで、子どもたちは夕方から夜まで二人きりのようだった。 僕の部屋と彼らの部屋は壁一枚... -
エレベーターで会った男
平日は残業が続き、毎晩終電ギリギリの帰宅が続いていた。その日も終電を乗り継ぎ、マンションに着いたのは深夜0時過ぎ。玄関ロビーには誰もおらず、ひっそりと静まり返っている。 カードキーでオートロックを解除し、エレベーターのボタンを押す。ドアが... -
二度鳴るチャイム
会社からの帰宅が遅くなった平日の深夜、時刻は0時を過ぎていた。駅から自宅までは歩いて10分ほどだが、人通りもなく、あたりは静まり返っていた。 マンションのエントランスをくぐり、自室のある3階へと階段を上る。オートロックを解除してから玄関の鍵を... -
田中さんは、もういない
派遣で入った職場で、最初に仲良くなったのが田中さんだった。40代後半の優しい女性で、なんでも丁寧に教えてくれた。 「ここの仕事、覚えちゃえば簡単よ。焦らずやれば大丈夫」 田中さんはベテランで、周囲からも頼られていた。 数ヶ月が経ったころ、急に... -
帰れなかった集落
大学時代の夏休み、俺は民俗学を専攻している友人・宮坂の調査に付き合って、小さな山村を訪れた。 その村は地図にもろくに載っておらず、バスは1日に2本しか来ない。宿も民宿が1軒あるだけで、あとは年季の入った木造家屋が並んでいる。 村の人たちは親切...