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弟の部屋
高校生の俺には、5つ下の弟がいる。年は離れているが仲は良く、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。 ある日、母が急用で外出することになり、夕方まで弟の面倒を見るよう頼まれた。俺は部屋でゲームをしていたが、弟がやたらと「遊んでー」とせがんでくる... -
知らない番号の男
大学1年の頃、スマホに突然、見覚えのない番号から着信があった。非通知ではなく、市内局番だったので「誰かの間違いかな」と思い、無視した。 だが、次の日も同じ番号から電話が来た。試しに出てみると、無言のまま数秒が経ち、最後にひとことだけ聞こえ... -
午前2時のチャイム
私が大学生のとき、都内の安アパートで一人暮らしをしていた。築30年の木造2階建てで、壁は薄く、隣室の咳払いすら聞こえてくるような場所だったが、家賃が安いので特に不満はなかった。 ある日の深夜、午前2時過ぎ。ウトウトしていると、「ピンポーン」と... -
ロッジの寝袋
高校3年の夏休み、仲の良い友人6人で山奥のロッジに一泊旅行へ行った。キャンプ場というよりは、ちゃんとした木造のロッジで、水道も電気も通っており、寝袋だけ持ち込めば快適に過ごせる場所だった。 「ホラー大会しようぜ!」と誰かが言い出し、夜は懐中... -
駅前の女
大学へ通う通学路の途中、駅前の交差点の角に、毎朝立っている女性がいた。 年齢は30代前半くらい。黒いスーツ姿で、手には何も持たず、ただ一点を見つめて立っている。表情は硬く、笑うこともなく、毎朝まったく同じ姿勢で、同じ場所にいた。 最初は「出... -
押し入れの文字
数年前、郊外で一軒家の中古物件を見に行ったときのことだった。駅からは少し離れていたが、庭付きで価格も安く、築年数の割に外観はきれいだった。ネットの写真で見た限りでは申し分ないように思えた。 約束の時間に現地へ行くと、不動産会社の担当者が玄... -
ユウタの部屋
小学生の頃、僕には「ユウタ」という友達がいた。同じクラスで、家も近く、毎日のように放課後は一緒に公園で遊んでいた。 ユウタは少し大人しい性格だったけど、いつも優しくて、僕の話をよく聞いてくれる子だった。家の話はあまりしなかったが、ある日、... -
最上階の影
私は数年前、深夜帯の清掃アルバイトをしていた。場所は都心にある24時間営業のオフィスビル。担当時間は深夜1時から4時。人がいない時間帯に、各階の廊下やトイレ、給湯室を清掃する仕事だった。 そのビルは地上10階建てで、私の担当は1階から3階まで。最... -
手形の窓
大学時代の友人、渡辺が住んでいたマンションには、少し奇妙な噂があった。彼が借りていたのは10階建ての最上階、角部屋。ベランダの向こうには隣の建物もなく、風景を遮るものがない開放的な部屋だった。 「景色がいいから気に入ってるんだよ」と彼は言っ... -
昨日の警察官
最近、近所で空き巣被害が増えているらしい。町内会の回覧板にも注意喚起のチラシが入っていたし、母も「玄関や窓の鍵、ちゃんと確認しなさい」と何度も言うようになった。 それでも特に危険を感じることもなく、僕はいつも通り学校に通い、夜にはいつも通... -
見つけたのは、どっち?
高校の帰り道、ふと気まぐれでいつもとは違う道を通ってみた。住宅街の中にある細い裏路地。人通りは少なく、街灯もまばらで、静かすぎるほどだった。 角を曲がったとき、道の先に誰かが立っているのが見えた。中年の男だった。ボサボサの髪、よれたスーツ... -
おばあちゃんの家
先週、田舎の祖母の家に泊まりに行った。築50年以上の木造家屋で、廊下は歩くたびにギシギシと音を立て、夜になると風が窓を揺らす音が響く。 小学生の頃はよく遊びに来ていたが、大人になってからは久しぶりだった。祖母は相変わらず優しく、夕食後も僕の...