見知らぬ番号

深夜2時過ぎ、スマホが震えて目が覚めた。
画面を見ると「非通知設定」の番号から着信。無視しようとしたが、何度も鳴る。

寝ぼけたまま通話ボタンを押すと、少し間をおいて、小さなノイズ混じりの声が聞こえてきた。

「……みえてるよ……」

ゾッとした。誰かのイタズラか?そう思ってすぐに切った。
でも、その夜は怖くて寝つけなかった。

それから毎晩、同じ時間に非通知の電話がかかってくるようになった。

出ても無言。あるいは、かすれた笑い声や、ガサガサという生活音のようなもの。
誰かがこっそり俺の部屋を覗いているような、不気味な感覚だけが残った。

スマホの設定で「非通知拒否」を有効にしても、なぜか通話履歴には残っている。
しかも、録音もスクショもできない。何かおかしい。

1週間ほど経ったある晩、とうとう声がはっきり聞こえた。

「そこにいるね……カーテンの隙間……」

心臓が跳ね上がった。

ベッドから飛び起きてカーテンを開けると、暗い外には何もいない……はずだった。

……でも、窓ガラスに指紋の跡がついていた。

俺の部屋は3階。外から触れる高さではない。

怖くなり、翌日すぐに管理会社に連絡して、防犯カメラを確認してもらった。

結果、「誰も写っていませんでした」と言われた。

その夜から、電話は来なくなった。
ただ……スマホの通知バーには、毎日決まって2:13の不在着信だけが残るようになった。

ある日、思い切って番号を解析してもらうために、通話履歴をキャプチャして、ネット掲示板で相談してみた。

すると、すぐに返信が来た。

「それ、電話じゃなくて“霊の仕業”かも。
 2:13って、霊が動きやすい時間帯。
 カーテンの隙間とか、鏡の反射とか、“入り口”がある部屋に出ることがあるらしいよ」

背筋が凍った。

まさかと思いながら、自分の部屋を見回すと──
クローゼットの中の姿見鏡が、わずかに開いていた。

閉めたはずの扉が、半開きになっている。

そしてその鏡には、俺の背後に──
もうひとつの“顔”が映っていた。

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