間違えて送っちゃった

高校時代の友人グループで、今でもよくグループLINEが動いている。

大学に進んだり就職したりして、全員バラバラになったけど、近況報告とかたまに飲み会の予定を立てたりして、ゆるくつながってる。

ある日、グループLINEに一件のメッセージが届いた。

──「間違えて送っちゃった、ごめん!」

送信者は、クラスで明るくて人気者だった“さき”。

送られてきたのは、写真だった。

薄暗い部屋に誰かが寝ていて、その横にぬいぐるみが置かれている。

寝てるのは……誰だろう?
全然見覚えがない顔。
というか、写真そのものがすごく“違和感”がある。

部屋も知らない雰囲気で、照明もほとんどない。
どこか、物置みたいな場所にしか見えなかった。

他のメンバーも続々と反応した。

「なにこれ誰?(笑)」
「彼氏? 怖くない?w」
「ホラー画像みたいw」

しばらくして、さきが返信した。

──「え、え、ちょっと待って、これ送ったの私!?」
──「スマホいじってなかったんだけど…」
──「てかこの写真なに!?こんなの知らない」

ざわつくグループ。
誰かのイタズラ?
でも送信履歴を見ると、確かにさきが送ってる。

さき自身も混乱している様子だった。

すると、別のメンバーが言った。

「さき、写真の奥に写ってる棚さ……お前の部屋にあるやつじゃない?」

そのメッセージのあと、グループは急に静かになった。

さきからの返信はなかった。

次の日、心配になって個別に連絡を取ろうとしたけど、さきのLINEは既読にならなかった。

電話も出ない。
SNSのアカウントも更新が止まった。

一週間後──
ニュースで「都内で若い女性が失踪」と報道された。

名前は、さきだった。

俺たちは慌てて警察にメッセージの件を話したが、捜査は進展しなかった。

それから半年が過ぎたある日、グループLINEが突然ピロンと鳴った。

送信者:さき

──「ごめん、スマホずっと壊れてた〜!」

写真と一緒に、明るいメッセージが届いた。

でも、写真を見た瞬間、息が止まった。

……そこに写っていたのは、**同じく失踪中の“あきら”**の顔だった。

しかも、その背景──
半年前の“ぬいぐるみ”と“棚”が、まったく同じ位置にあった。

なのにさきは、こう続けた。

──「てかさきって誰?(笑)」

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