余った写真

大学のゼミ仲間と旅行に行った。
男3人、女2人の合計5人。卒業も近かったし、みんな予定を合わせて温泉地へ1泊2日の小旅行だ。

旅館でのんびり過ごし、帰りの電車を待っているときに、ひとりが「みんなで写真撮ろう!」と言い出した。
スマホで何枚も写真を撮り、その場でAirDropで共有。みんな笑顔で、「あー楽しかったね」と言いながら帰路についた。

帰宅してから、ふと気づいたことがある。
カメラロールに保存された写真を見ていたら、集合写真のうち1枚だけ、6人で写っているものがあった。
いや、そんなはずはない。旅行に行ったのは5人だけ。6人目なんていない。

写真をよく見ると、後列の僕の肩に、見知らぬ女性の顔が重なるように写っていた。
誰も気づかなかったのか、グループLINEではその写真も含めて普通に共有されていた。

気味が悪くなって、他の写真も確認してみた。
…全部で20枚。だが、旅行中に撮ったのは19枚のはず。

1枚、多い。

そしてその1枚には、全員が寝静まった深夜の旅館の部屋が写っていた。
撮影された時間は、午前3時14分。

全員寝ていたはずの時間。

部屋の隅に立っているのは、集合写真に写り込んでいた、あの女だった。

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