2025年7月– date –
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ただいま
大学を卒業し、就職を機に実家を出て一人暮らしを始めて2年。 仕事にも少し慣れてきた頃、久しぶりに実家に帰ることにした。 両親に事前に連絡していたので、母は「楽しみにしてるよ」と電話で言っていた。 当日、最寄り駅からバスに乗り、実家の近く... -
となりの部屋の音
大学進学で一人暮らしを始めて数ヶ月が経った頃、アパートの「となりの部屋」から妙な物音がするようになった。 最初は、夜中に何かを落としたような“ゴンッ”という鈍い音だった。 古いアパートだし、物音が響くのはよくあることだと思っていた。 け... -
白い廊下の奥
大学を卒業してすぐ、就職先の都合で地方都市に引っ越した。 右も左もわからない土地で、慌ただしく新生活が始まった頃、不動産会社から紹介されたのが、少し古びたマンションの一室だった。 内装はリフォームされており、小綺麗で家賃も手頃だった。 ... -
赤いリボン
小学校の頃、僕には“ミカちゃん”という女の子の友達がいた。 ミカちゃんはいつも髪に赤いリボンをつけていて、明るくて、よく笑う子だった。 毎朝、僕とミカちゃんは一緒に登校していた。 でも、ミカちゃんは少し変わっていて、なぜか学校の手前50メー... -
見てた人
俺は普段、深夜まで働くことが多い。 ある日、終電で帰宅した俺は、駅から自宅までの15分ほどの道のりを、いつも通りイヤホンをしながら歩いていた。 住宅街に入り、何気なくイヤホンを外したとき、不意に誰かの気配を感じた。 背後ではない。前方の道... -
風の通り道
大学生の頃、僕は地方の古びたアパートで一人暮らしをしていた。 築40年近く、木造二階建て、家賃は格安だったが、隣室との壁が薄く、風の強い日は建物全体がギシギシと軋んだ。 2階の角部屋、201号室。そこが僕の部屋だった。 日当たりは悪くなかった...
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