2025年6月– date –
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大丈夫、鍵はかけた
一人暮らしを始めてからというもの、私は戸締まりにはとても気をつけている。特に夜寝る前には、玄関の鍵を二重にチェックするのが習慣だ。 そんなある晩、寝ようとしていた時、スマホにメッセージが届いた。「今日ってさ、鍵ちゃんとかけたよね?」送信者... -
貸した鍵
大学時代、私は知人のツテで見つけた格安アパートに住んでいた。築年数は古かったが、駅も近く、家賃も安い。なにより大家さんがとても親切だった。 「困ったことがあったら、いつでも言ってね」そう言って、合鍵を1本渡された。「何かあったときのため」... -
電話ボックスの女
その電話ボックスは、私の地元のはずれにある公園の横にぽつんと建っていた。今どき誰が使うのかと思うような古いボックスで、周囲の雑草も伸び放題。けれど、なぜか撤去されずに残っていた。 高校の頃、放課後に友人と肝試しをしたことがある。目的地はそ... -
ベランダの男
大学に通うために一人暮らしを始めたアパートは、築年数は古いものの、駅からも近く、家賃も安かった。周囲は静かで、隣人の物音もあまり聞こえない。最初のうちは快適だった。 ところが、ある日から違和感を覚えるようになった。 夜になると、ベランダの... -
やさしい隣人
引っ越してきたアパートは、古くて狭いが家賃が安く、私にはちょうど良かった。隣の部屋には年配の女性が住んでいて、会えば笑顔であいさつしてくれる、感じのいい人だった。 「何かあったらいつでも言ってね。若い人が一人で大変でしょう?」そう言って、... -
裏山の祠
私の祖父母の家は、山に囲まれた小さな村にあった。子どもの頃は毎年夏休みにそこへ行くのが楽しみで、自然の中で自由に遊べることが何よりの喜びだった。 しかし、村にはひとつだけ「絶対に近づいてはいけない」と言われていた場所がある。 それが、**裏... -
お姉ちゃんの部屋
私は5歳の妹と2人で暮らしている。両親は数年前に事故で亡くなり、身寄りもいなかったため、私が保護者として妹を育てている。 妹は素直で元気で、特に問題もなく、静かな暮らしをしていた。 ただ、一つだけ気になることがあった。 妹が、毎晩眠る前に言う... -
隣人のノート
一人暮らしを始めて3ヶ月。隣の部屋には30代くらいの男性が住んでいた。見た目はおとなしそうで、あいさつをすれば軽く会釈を返してくる程度。 特に問題もなく過ごしていたが、あるときから妙な違和感を覚えるようになった。 朝、玄関前にゴミ袋を置いて出... -
赤い靴の足音
高校時代の話だ。当時、通学路の途中に使われていない廃校があった。木造の古い建物で、フェンスの向こうに校舎がひっそりと建っていた。 ある日、クラスの男子数人と肝試しをしようということになり、夜にその廃校を訪れた。 入口のフェンスは壊れていて... -
親切な通報者
ある町の警察署に、ある日1本の通報が入った。 「向かいの家のベランダに子どもが閉じ込められてるみたいなんです。大丈夫か見てきてもらえませんか?」 通報者は近所に住む30代くらいの男性で、名前と連絡先もちゃんと名乗った。現場に駆けつけた警官が確... -
引っ越し祝い
春先、私は引っ越しをした。都内の古いアパートだが、内装はリフォームされていて綺麗だった。何より、大家さんがとても親切だったのが印象的だった。 「ひとり暮らしは不安でしょう?何かあれば、いつでも声かけてくださいね」 その言葉に少し安心しなが... -
止まらない呼び鈴
大学を卒業し、一人暮らしを始めたばかりの春のこと。引っ越し先は駅から少し離れた、古い木造アパートだった。築年数はかなり経っていたが、家賃が安く、何より静かな環境が気に入っていた。 だが、ある夜を境に、その平穏は崩れた。 深夜2時。眠っている...