2025年6月– date –
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ママの携帯
小学1年生の妹が、最近よくママのスマホで写真を撮るようになった。「見てー、ママの真似してるの!」と言いながら、カメラを向けてカシャッと音を鳴らしては笑っている。 ママは仕事でいつも帰りが遅いから、妹はママのスマホを持って遊んでいる時間が多... -
無断で片付けられる部屋
私は一人暮らしをしている。築年数は古いが、安くて駅も近く、それなりに気に入っていた。 だが、最近おかしなことが起きるようになった。帰宅すると、部屋の中が少しだけ片付いているのだ。 洗濯物がたたまれていたり、テーブルの上にあったはずのリモコ... -
夜の神社と足跡
私が大学時代、地元に帰省していたときの話だ。ある晩、幼なじみのタケルと深夜ドライブをしていると、山のふもとにある古びた神社の前を通りかかった。 「なあ、肝試しでもしないか?」 タケルがそう言ってきた。彼は昔から怖いもの知らずで、私の嫌がる... -
家の中の知らない
ある日、僕は古本屋で見つけた安い日記帳を買った。カバーに傷がある以外は真新しく、ページも白紙だった。使いやすそうだったので、簡単な日記でもつけてみようと思った。 最初のページに、自分の名前と住所を書き、日々の出来事を少しずつ書いていった。... -
バスの中の見知らぬ女
その日、私はいつも通り仕事を終え、終電間際の路線バスに乗って帰宅しようとしていた。バスは地方路線で、利用客も少ない。街灯の少ない道を、揺られながら走る。 車内には運転手と私を含め、4人ほどしか乗っていなかった。誰も話すこともなく、スマホを... -
祖母の押し入れ
私の祖母の家は、築六十年を超える古民家だった。田舎にしては広く、部屋が六つもあり、床の軋む音が常にどこかから聞こえていた。 私は小学生の夏休み、毎年そこに一週間ほど泊まりに行っていた。縁側でスイカを食べたり、近くの川で遊んだりするのが楽し... -
帰ってきた母
僕の母は、去年の冬に亡くなった。原因は交通事故だった。仕事帰りに歩いていたところ、スリップした車に跳ねられたのだ。 突然の別れに家族全員が落ち込んだ。特に僕は母っ子だったから、数ヶ月はずっとふさぎ込んでいた。 そんなある日、部屋の掃除をし... -
隣人のカメラ
私が今のマンションに引っ越してきたのは、春先だった。最上階の角部屋で、日当たりも良く、駅からも近い。完璧な物件だと思っていた。 ただ一つ、少しだけ気になる点があった。 隣の部屋の住人が、いつもこちらを見ていることだった。 引っ越しの挨拶をし... -
赤い人形
私が引っ越したのは、都内から少し離れた古びた団地だった。家賃の安さと、駅からの距離に惹かれて即決したが、最初からどこか妙な雰囲気を感じていた。 入居当日、押し入れの奥に小さな箱が置かれていた。中には、赤い着物を着た日本人形が入っていた。ガ... -
お兄ちゃんの秘密
私は今、兄の部屋を片付けている。兄が事故で亡くなってからもうすぐ一ヶ月になるけど、まだ信じられない。 兄は私にとって優しくて頼れる存在だった。小さい頃からずっと守ってくれて、友達とトラブルがあったときも、夜道で怖い思いをしたときも、必ず助... -
押し入れのメモ帳
大学進学で一人暮らしを始めた俺は、郊外の古いアパートに住んでいた。築年数は相当経っているが、家賃が破格だったためすぐに契約した。 引っ越し当日、部屋を掃除していると、押し入れの奥に古いメモ帳が落ちていた。ボロボロの表紙で、ところどころシミ... -
見知らぬ番号
深夜2時過ぎ、スマホが震えて目が覚めた。画面を見ると「非通知設定」の番号から着信。無視しようとしたが、何度も鳴る。 寝ぼけたまま通話ボタンを押すと、少し間をおいて、小さなノイズ混じりの声が聞こえてきた。 「……みえてるよ……」 ゾッとした。誰か...