2025年5月– date –
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置き配カメラ
引っ越してから2週間が過ぎた頃、妙なことが続けて起きた。通販で頼んだ荷物が、「置き配」にしたはずなのに、玄関に届いていないのだ。 最初は配達ミスかと思った。だが、同じことが3度も続いた。 不審に思って、宅配ボックスも確認したが、どこにも荷物... -
上の階の女
大学進学で引っ越したマンションは、駅からも近く家賃も手頃だった。少し古いが、静かで暮らしやすい部屋だった。 ただ、気になることが一つだけあった。それは「上の階の住人」だ。 引っ越してすぐ、管理会社から「上階には一人暮らしの女性が住んでいま... -
寝言の録音
社会人になってから一人暮らしを始めた俺は、不眠気味になった。 仕事のストレスもあるだろうが、夜中に何度も目が覚める。目覚めるたびに胸がざわざわして、冷や汗をかいている。夢も覚えていない。ただ、ものすごく疲れているのだ。 そんなとき、ネット... -
あいさつの家
その家は、挨拶をすると返してくれる家だった。 会社の後輩・仁志が新築の一軒家を購入したということで、週末に遊びに行った。郊外の住宅街にあり、周囲も静かで落ち着いた雰囲気だった。 仁志は「いい土地が手に入った」と嬉しそうに話していた。そして... -
ベランダの向こうの顔
引っ越してきたばかりのマンションで、奇妙なことが起き始めたのは、5日目の夜だった。 東京郊外の新築物件。1LDKでオートロック、防音も完璧、築浅で家賃も安い。「これは掘り出し物だ」と思った俺は即決で契約した。初日は静かすぎて逆に落ち着かないほ... -
空き教室のノート
ある田舎の中学校での出来事だ。俺の通っていた学校には、使われていない旧校舎があった。窓には板が打ちつけられ、教室のドアにも鍵がかけられている。だが、生徒の間ではこう噂されていた。 「3階の奥の教室には、勝手に増える“ノート”があるらしい」 俺... -
出入り自由の部屋
俺は数年前、都内の安アパートに住んでいた。ボロいが駅からも近く、家賃が格安だったので即決だった。 間取りは1Kで、築40年近い木造。隣の部屋とは薄い壁一枚で仕切られており、物音はほぼ筒抜けだった。だが、住人同士の関わりはほとんどなく、俺にとっ... -
家族写真
彼女の実家に初めて挨拶に行った日のことだ。玄関をくぐると、廊下にずらりと家族写真が並んでいた。親戚や子供のころの写真もあり、温かい家庭なんだなと思った。 彼女の母親が出迎えてくれ、少し緊張しながらもリビングでお茶をご馳走になった。「うちの... -
余った写真
大学のゼミ仲間と旅行に行った。男3人、女2人の合計5人。卒業も近かったし、みんな予定を合わせて温泉地へ1泊2日の小旅行だ。 旅館でのんびり過ごし、帰りの電車を待っているときに、ひとりが「みんなで写真撮ろう!」と言い出した。スマホで何枚も写真を... -
鍵垢の彼女
彼女とはSNSで知り合った。共通の趣味があり、最初はDMで軽くやり取りをしていただけだったが、徐々に会話は毎日続くようになり、やがて通話をするようになった。 アイコンはイラスト、名前もハンドルネーム。リアルの情報はほとんど明かさない子だったが... -
忘れられない訪問者
大学時代、私は下宿で一人暮らしをしていた。ある日曜の昼下がり、インターホンが鳴った。 モニターを見ると、20代後半くらいの男が立っていた。「すみません、このあたりに○○さんという方、お住まいじゃないですか?」と人当たりのよさそうな笑顔で尋ねて... -
隣の部屋の住人
大学進学を機に、一人暮らしを始めたアパートは、古びた木造2階建て。家賃が安く、多少の生活音が響くのは覚悟のうえだった。 引っ越してしばらくして、気になることがあった。夜中、隣の部屋から「うっ、うっ……」と、抑えたようなすすり泣きが聞こえるこ...